2020 年 76 巻 2 号 p. I_109-I_117
本研究では,水を吸収すると膨張する吸水性粒子の間隙に浸入する自由液面流れを有限体積法により計算する手法を提案する.吸水性粒子の膨張により,水に接する粒子の固体領域が広がり,その影響を粒子表面の流速と圧力の境界条件として考慮する.この計算手法を用いて非吸水性粒子間隙の lock-exchange 問題や単一の吸水性粒子の膨張問題を計算し,高密度流体側のフロント位置や水の体積保存性について基本的な検証を行った.さらに,複数の吸水性粒子間隙に浸入する dam-break 流れに対する数値実験を行った.その結果,粒子間隙におけるフローパターンは粒子の膨張に大きく影響を受けること,また粒子の吸水速度が大きくなりすぎると粒子間隙へのフロントの進行が阻害され,領域全体の粒子吸水量が低減する可能性があることを示した.