2020 年 76 巻 2 号 p. I_119-I_129
衝突を解析する手法である個別要素法は幅広い分野で適用されている.従来の個別要素法は衝突をバネの反発でモデル化するため大きなバネ定数を用いた場合には時間刻み幅の制約が厳しく,計算コストの観点から非効率であるという問題を抱えていた.それに加え,バネ定数の制約を緩和しつつ対象物の物性を反映するようにバネ定数などのパラメータを決めることも困難であった.本研究では,硬い球形粒子が動き回るボールミルなどの産業機械の解析を目的に,剛体衝突モデルを用いる時間解像度が可変な力積型個別要素法を開発した.提案モデルは従来モデルに比べて計算に必要なパラメータが少なく,時間刻み幅を大きくすることが可能である.提案モデルにおける定性的な精度を検証するため,ボールミル実験を用いて実験および従来モデルの計算結果と比較した.