2021 年 77 巻 1 号 p. 21-34
二酸化炭素地中貯留では,大量のCO2を地中深部に圧入するために大深度坑井(深さ1km以上)を複数配置する必要がある.費用対効果に優れた坑井配置を設計するためにメタヒューリスティクスと言われる最適化手法と数値シミュレーションを組み合わせた最適化ツールの適用が試みられている.しかし,その実用化においては最適解探査に要する膨大な計算時間を短縮することが課題となっている.そこで今回,並列計算処理により最適解探査を大幅に高速化する手法を提案した.本研究で開発した最適化ツールを超並列計算機に実装してケーススタディーを行った結果,メタヒューリスティクスの一つであるCMA-ES(Covariance Matrix Adaptation Evolution Strategy)による実用規模の坑井配置探査を実用的な時間内で実行できることがわかった.