2021 年 77 巻 2 号 p. I_25-I_34
橋梁・高架橋の構造全体系の固有振動数は下部工の健全度判定に広く活用されているが,この指標には上部工や支承を介した隣接構造物の振動の影響が含まれており,隣接構造物の条件によっては,着目している下部工単体の特性が必ずしも明瞭に評価できない可能性がある.本研究は,振動計測から得られるデータを用いて下部工単体の固有振動数を同定する手法を開発した.具体的には,構造全体系の非減衰固有振動数と固有モードから理論的に下部工単体の固有振動数を同定可能であり,固有値解析により提案手法で下部工単体の固有振動数が同定可能であることを検証した.さらに,全体系の非減衰固有振動数に誤差が含まれた場合の同定精度に与える影響を評価したところ,特に高次モードの誤差が同定精度に与える影響が大きいことがわかった.