2019 年 75 巻 2 号 p. I_69-I_77
耐候性鋼橋梁の外観評点におけるさび形状評価(粒子状・うろこ状・層状の判別)は,評価者によるばらつきが生じやすい.本研究では,鋼材表面さびの三次元モデルを作成し,モデルから任意に抽出した複数のさび断面におけるフラクタル次元を利用して,さび形状を定量的に評価する手法について検討した.その結果,まずさびサンプルでは評点3と評点4の組み合わせ以外においてフラクタル次元の平均値に統計的な差があることがわかった.また,さび形状判定の基準値としてさびサンプルの平均値を利用し,実橋梁の鋼材表面さびの形状評価を行った結果,さび形状だけでなくさびの粒子径や色などの外観も考慮して評価している専門家のさび外観評点より,実橋梁の鋼材表面さびのフラクタル次元による外観評点は,評点が大きくなる傾向にあることがわかった.