2015 年 71 巻 3 号 p. 162-181
本研究では,照明ランプ,安定器,照明器具の3種類の部品で構成されるトンネル照明設備の点検・更新施策について議論する.照明ランプと安定器の劣化過程をワイブル劣化ハザードモデル,照明器具の劣化過程をマルコフ劣化ハザードモデルにより求め,その劣化予測結果を用いて点検・更新過程をマルコフ連鎖モデルで表現する.政策変数として,照明ランプの非定常な点検・更新間隔の流列,照明器具の補修施策,安定器と照明設備の一括更新間隔を設定する.その際,点検間隔の非定常性に起因し,点検・更新施策の候補数は膨大となるが,遺伝的アルゴリズムを用いた方法論を提案し,所与のリスク管理水準の下でライフサイクル費用を最小化する最適点検・更新施策を決定する.最後に,実在の高速道路トンネルを対象に方法論の有用性を検証する.