2020 年 76 巻 2 号 p. I_82-I_91
わが国のPFIは導入から20年が経過し,今後はインフラ事業へのさらなる推進が期待されている.新設のインフラPFIを考える場合,まず国民経済的に見た経済分析での基準を満たした上で,財務分析,民間資金の融資分析,財政支出分析をもとに事業スキームを構築する必要がある.この4つの分析は相互に連関するが,従来はそれぞれ個別に実施されており,総合的な視点からスキームを構築することは困難である.そこで,本研究では,PFIを含む多様な事業スキームの比較評価を効率的に行うために,それらを統合した分析手法を提案することを目的としている.まず,統合分析の基本構成を詳述した上で統合分析表の基本形を構成している.さらに,仮想の新設道路事業を設定し,ケーススタディを通して事業スキーム構築における統合分析の有用性について確認している.