違法駐輪対策の一環である自転車撤去は,その後の自転車利用者の駐輪行動にどのような影響を及ぼすかは十分に検証されていない.本研究は,違法駐輪と撤去の関係の考察後に,福岡市天神地区を対象に保管所,路上,駐輪場の3箇所で違法駐輪に関する意識を調査し,撤去が自転車利用者に及ぼす影響を分析した.その結果,1)駐輪場利用者の7割強が違法駐輪経験者,2割弱が撤去経験者で,違法駐輪対策の効果として駐輪場利用が進んだこと,2)違法駐輪の撤去とその後の駐輪行動の割合を表す関係式を導き,調査データから各変数を推定できたこと,3)保管料上昇は被撤去者の自転車離れを進める可能性のあること,4)撤去強度を上げると駐輪場利用者が増え違法駐輪者が減るが,その減少幅は小さいこと等が得られた.