抄録
本研究では,土壌pHが中性領域の射撃場鉛汚染土に対してリン酸二カリウム(KP)と酢酸(OAc)を併用し,土壌溶液中での鉛の形態変化による鉛不溶化技術の高度化を試みた.また散弾中に含まれるアンチモン溶出にも着目した.KP添加のみでは,土壌のpHがアルカリ領域となるため,鉛やアンチモンの溶出量が増加したが,OAcと併用することで,その溶出量が減少した.KPとOAcの併用により,鉛溶出量を20~80%抑制できた.逐次抽出法による鉛の形態分析の結果,KPを添加することで,残渣態鉛の割合が顕著に増加し,KPとOAcを併用することで,その割合は更に増加し,残渣態鉛の割合が82%となった.これらのことから,KPとOAcの併用によって鉛の不溶化反応が促進され,鉛溶出量が抑制されることが明らかとなった.