土木学会論文集G(環境)
Online ISSN : 2185-6648
ISSN-L : 2185-6648
67 巻, 2 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
和文論文
  • 本多 了, 福士 謙介
    2011 年 67 巻 2 号 p. 47-53
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/04/20
    ジャーナル フリー
     下水処理場は多くのエネルギーを消費する一方で,再生可能エネルギーの発電に利用可能な広大な敷地を有する.本研究では,政令指定都市および特別区の下水処理場を対象とし,処理場敷地内に太陽光発電および小型風力発電を導入することによるエネルギー創出ポテンシャルとそれに伴う温室効果ガスの排出削減効果を算出した.試算の結果,対象としたすべての処理場に太陽光発電と小型風力発電を導入した場合,下水処理場の消費電力量のうち31%を設置した再生可能エネルギー発電で賄え,二酸化炭素換算で年間約27万4千トンの温室効果ガス削減効果があることが分かった.また,対象とした121処理場のうち発電量の多い上位25処理場で全体の約50%の発電量を占めた.
  • 閻 峰, 小林 拓朗, 高橋 慎太郎, 李 玉友, 大村 達夫
    2011 年 67 巻 2 号 p. 60-68
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/05/20
    ジャーナル フリー
     デンプンとメタノールを炭素源とする廃水を用いて,UASBリアクターによる連続実験を行った.長期連続運転による容積負荷30kg-COD/m3・dの条件では,S-CODの除去率は安定して98%以上であり,この期間にグラニュール形成の進行が確認された.活性試験の結果,グラニュールはメタノール及び水素の消費活性が高いことが分かった.クローン解析及びFISH解析の結果,球状でメタノール資化性のMethanomethylovorans属が最も優勢であり,次にMethanosaeta属が優勢であった.デンプンとの混合処理系はメタノール単独処理系と比較して,径0.5mm以上のグラニュールの割合が3倍程度多く,酢酸資化性と水素資化性のメタン生成古細菌それぞれが占める割合が多いことが明らかとなった.
  • 宮平 譲, 坂巻 隆史
    2011 年 67 巻 2 号 p. 69-77
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/05/20
    ジャーナル フリー
     大浦川河口干潟での調査から,底質含泥率と直上流速の関係を定量化した.その結果,含泥率と流速15cm/s以上の観測頻度の間に明確な負の関係がみられ,特に頻度が0.11~0.12以下の地点ではそれ以上の地点に比べ含泥率が顕著に高かった.放射性同位体7Beの分析では,表層底質中の細粒画分の平均滞留時間が非粘着性砂質,粘着性砂泥質,粘着性泥質を代表する3地点でそれぞれ36日,131日,68日と推定された.結果に基づき,底質砂層の巻き上げによる細粒画分の洗い流し,細粒画分の増加に伴う粘着性の発現,および粘着性底質表層における細粒画分の安定的定着の可否の観点から底質形成の機構を考察した.水理環境の変化に対する底質性状の非線形的な応答とともに,底質動態の解析における同位体分析の有効性が支持された.
  • 坂本 靖英, 西脇 淳子, 原 淳子, 川辺 能成, 菅井 裕一, 駒井 武
    2011 年 67 巻 2 号 p. 78-92
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/06/20
    ジャーナル フリー
     近年,製油所跡地,油田跡地,給油所等において,鉱物油に起因した土壌汚染が顕在化している.汚染サイトに留まらず,井戸水や土壌,作物の摂取等,人体にとっては様々な暴露経路が想定されるため,汚染物質の土壌・地下水環境における移動現象の把握が重要となる.
     本研究では,鉱物油に起因した土壌汚染のリスク評価システム開発の第一段階として,多成分系からなる鉱物油をモデル化するとともに,揮発・溶解等の一連の現象を考慮に入れた多相・多成分系流動に関する数学モデルを構築した.さらに,汚染物質である鉱物油の土壌・地下水環境における移動現象を予測する上で基礎となる,油-水2相系を対象とした室内実験のシミュレーションを実施し,混相流動挙動を支配する相対浸透率の定式化を進めた.
  • 吉田 孝敏, 加藤 雅彦, 佐藤 健
    2011 年 67 巻 2 号 p. 93-100
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/06/20
    ジャーナル フリー
     本研究では,土壌pHが中性領域の射撃場鉛汚染土に対してリン酸二カリウム(KP)と酢酸(OAc)を併用し,土壌溶液中での鉛の形態変化による鉛不溶化技術の高度化を試みた.また散弾中に含まれるアンチモン溶出にも着目した.KP添加のみでは,土壌のpHがアルカリ領域となるため,鉛やアンチモンの溶出量が増加したが,OAcと併用することで,その溶出量が減少した.KPとOAcの併用により,鉛溶出量を20~80%抑制できた.逐次抽出法による鉛の形態分析の結果,KPを添加することで,残渣態鉛の割合が顕著に増加し,KPとOAcを併用することで,その割合は更に増加し,残渣態鉛の割合が82%となった.これらのことから,KPとOAcの併用によって鉛の不溶化反応が促進され,鉛溶出量が抑制されることが明らかとなった.
  • 渡辺 貴典, 泉 岳樹, 松山 洋
    2011 年 67 巻 2 号 p. 101-113
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/06/20
    ジャーナル フリー
     本研究では東京都の「東京における自然の保護と回復に関する条例」(略称「自然保護条例」)に着目し,現実的なシナリオを用いて屋上緑化の気温緩和効果について検討した.領域気象モデルWRF-ARW Ver.3.1.1を使用して,典型的な夏季晴天日である2006年8月4~5日を対象とした実験を行った.初期条件・境界条件にはNCEP Final Analysis dataを用いた.その結果,屋上緑化面積比率100%の実験では東京23区で最大約0.7℃気温が低下した.さらに「自然保護条例」で定められた屋上緑化面積比率の上限値(35%)の実験では最大約0.3℃気温が低下した.またCO2排出量に対する削減効果は1.1~3.2万t/月となり,東京都のCO2排出量に対する比率は1.1~3.5%となった.
和文報告
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