抄録
本研究では東京都の「東京における自然の保護と回復に関する条例」(略称「自然保護条例」)に着目し,現実的なシナリオを用いて屋上緑化の気温緩和効果について検討した.領域気象モデルWRF-ARW Ver.3.1.1を使用して,典型的な夏季晴天日である2006年8月4~5日を対象とした実験を行った.初期条件・境界条件にはNCEP Final Analysis dataを用いた.その結果,屋上緑化面積比率100%の実験では東京23区で最大約0.7℃気温が低下した.さらに「自然保護条例」で定められた屋上緑化面積比率の上限値(35%)の実験では最大約0.3℃気温が低下した.またCO2排出量に対する削減効果は1.1~3.2万t/月となり,東京都のCO2排出量に対する比率は1.1~3.5%となった.