2011 年 67 巻 4 号 p. 178-197
都市分散型水資源の一般市民の選好,認識をインターネット調査と階層分析法(AHP),支払意志額(WTP)により検討した.AHPの評価基準は自然環境,生活を重要視していた.水源は雨水,下水処理再生水,地下構造物浸出水,用途は一部に有意水準5%で有意でない順位もあるが,農業・園芸用水,災害用水,雑用水,親水用水,散水の順番で重要視していた.3種類の方法で求めた重みベクトルは理論的には一致するが,本研究では評価基準数が増すことにより代替案間の差が小さくなり,この点についてはAHPの今後の検討課題である.水源の公的WTPは53,100~55,100円/年/人,私的WTPは19,100~20,800円/年/人で,順位は重みベクトルと同様であった.属性について解析することにより,水源と用途に関する効果的な情報提供の対象と内容が抽出された.