抄録
パラオ諸島におけるマングローブの生育地としての干潟の形成と安定性に関わる流域特性を用いて潜在的生育地を推定し,広域的視点から生育地の脆弱度評価を行った.流域特性として土砂供給,土砂堆積,そして波の静寂性に関わる要因をGISを用いて算出した.そして一般化線形モデルを用いて流域内に生育可能なマングローブ生育地面積の推定を行った.その結果,流域山地部からの土砂供給量が多く,平野部の土砂堆積容量が十分で,かつ平野部の水理条件の良い河川が大きな内湾に流入する場所において潜在的生育地面積が大きかった.しかし,マングローブの潜在的生育地は限られた場所であり,パラオのマングローブ生育地のほとんどは脆弱な環境に立地することから,土地開発は慎重に検討する必要がある.