抄録
環礁州島における有用な資源の一つにサンゴ礫が挙げられるが,堆積過程や地形変化に関する情報は乏しく,管理体制は整っていない.そこで本研究ではツバル国フナフチ環礁フォンガファレ島の南端部に形成しているサンゴ礫の砂嘴状地形に着目し,地形変化の現地計測および衛星画像から計測を行った.また,周辺波浪場の算定結果からシールズ数を算出し,月平均の波浪条件下でのサンゴ礫移動可能性について検討した.計測結果から,砂嘴状地形は活発に移動しているものの,平面的な拡大・縮小は生じていないことが明らかとなった.また,日常波浪条件下でのシールズ数による検討からラグーン側では礫の移動は生じておらず,主に礁原上および外洋側で数か月間のみ活発に生じているものと考えられた.