抄録
降雨パターンの違いが流出現象に与える影響を解明する事は,従来から行われてきた多様な治水手法の組み合わせによる総合的な治水対策の更なる発展に寄与し,治水計画を検証する上で非常に有益である.本論文では,台風の経路は一様でない事や温暖化による気象現象の極端化を想定し,利根川上流域を対象として,カスリーン台風時の降雨データを元に擬似降雨を作成し, 降雨パターンの違いが八斗島基準点のピーク流量に与える影響を検証した. その結果,降雨パターンの違いによって,八斗島基準点のピーク流量に1割~2割の違いが現れる事を示した.また,カスリーン台風級の豪雨が襲来した場合,降雨パターンによっては八斗島基準点の基本高水流量を上回る事を示した.