抄録
本研究では中国を対象に,2050年に世界GHG半減目標と整合性を持つ削減は可能か,可能ならばどのような施策が必要かを,社会経済に関する二つの将来シナリオ
SLCS: 変革を積極的に受容し高い経済成長率の社会
SSTAG: 変革に消極的であり,比較的低い経済成長率の社会
の下で検討した.検討にはCGEモデルを用い,中国の削減目標は世界半減と一人あたり排出量均等化の条件から求め,2050年に2005年比66%減とした.
結果,目標達成は不可能ではないものの,実現する際の排出価格は,SLCSとSSTAGで$464/tCO2eq. 及び$395/tCO2eq. となり,GDP損失は7.9%及び8.3%となった.また,特に効果があった施策は,再生可能エネルギー導入と非エネルギー起源GHGの削減であった.