抄録
気候変動適応策の認知度は低く, その取り組みは遅れている. 一方で, 気候変動に関する多くの情報はメディアを通して, 人々に影響を与えている. 今後ライフスタイルを決定する若年層に対し, 気候変動適応能力を育成することができれば, 高い効果が期待できる. 研究目的は, メディア選好が若年層の気候変動適応能力形成に影響するメカニズムを明らかにすることである. 研究対象は,小学生, 中学生, 大学生の集団とし, 質問紙調査により645の有効回答を得た. 分析手法は, ロジットモデルと共分散構造分析である. 結果として, メディアは順応対策に影響を与えることや, 年齢上昇とともに対処有効性認知が将来の気候変動適応行動に影響する構造が形成されることなどが明らかとなった. 結果を踏まえ, メディアを活用した気候変動適応能力育成への提言を行った.