抄録
本研究では,群馬県内の利根川と水田,および降雨の水質分析調査を行い,灌漑期の利根大堰の無機態窒素濃度変動に及ぼす原因について検討した.利根川の水質分析の結果から,利根大堰において夏季に発生している無機態窒素濃度変動は,毎年発生している可能性が示唆された.また,実水田の水質分析より,水田を通過することで流入水の無機態窒素濃度が低下することが確認できた.また,水質分析と水田への流入量(降雨含む)の計測から,調査対象の水田における無機態窒素除去量が,8月で13.8 mg/m2/day,9月で5.4 mg/m2/dayと推定された.算出した無機態窒素除去量を用い,天狗岩用水供給区域の水田が利根大堰地点の無機態窒素に及ぼす影響について検討したところ,群馬県全域において,灌漑期(8-9月)に利根大堰を流下する無機態窒素量の約0.05~0.34%を除去していることが示唆された.