2012 年 68 巻 6 号 p. II_349-II_359
震災及びその後の津波の影響により生じた電力不足により市民は節電行動の実施を余儀なくされた.本研究では(1)このような状況が市民の環境配慮行動に与えた影響,(2)人々の意識の地域差,(3)電力使用量や実施度とパーソナリティおよび現状認識との関連,を明らかにすることを目的とし,関東地方,大阪市,広島市を対象にアンケート調査を実施した.その結果,市民の節電行動実施度は有意に増加し,関東地方とその他の地域では差が見られた.さらに,人々の意識についても地域差が見られた.特に,節電行動に影響を与えた因子としては,現状認識の中では「気遣い」が,パーソナリティとしては「階層意識」が大きく影響していることが明らかとなった.しかし,一方で,実際の電力削減量は節電行動やこれらの意識を説明変数とした場合にもその説明力は極めて小さかった.