2012 年 68 巻 7 号 p. III_251-III_257
長期濁水化が顕在化しているダム流域内の広範囲の多数地点(71地点)において土砂試料を採取し,濁り継続試験を実施した.試験結果に基づき,長期濁水化の発生源となり得る危険度を設定・評価した.また,現地地質調査結果から,既存地質図における同一地質区分内をさらに詳細に分帯し,地質ブロック図を作成した.ここで明らかにした地質ブロックの分布と危険度が高い試料が採取された地点との間には整合性の高い関係があり,地質ブロックのレベル4分布域からは「危険度3」の試料採取が特徴的に多く得られていることが確認できた.この成果は,濁水長期化に関与している土砂分布域を特定するための基礎資料として大いに有用なものであり,今後の濁水抑制対策計画に資するものと評価できる.