2012 年 68 巻 7 号 p. III_351-III_358
本研究では,2箇所の下水処理場においてN-ニトロソアミン類(NDMA, NDEA, NDPA, NPYR, NMEA, NPIP, NMOR, NDBA)及びそれらの生成能の挙動に関して実態調査を行った.2つの下水処理場の流入下水中のN-ニトロソアミン類の濃度は,ND~237 ng/Lの範囲であった.生物処理におけるN-ニトロソアミン類の除去率は28~>99%の範囲であり,処理過程での塩素消毒における生成率は14~66%であった.両下水処理場におけるN-ニトロソアミン類の生成能には数倍の差があり,生成能の除去率は2~94%,放流水中のN-ニトロソアミン類生成能はND~848 ng/Lであった.これらの残留N-ニトロソアミン類生成能は放流された後,下流の浄水処理場や再利用水の消毒段階でN-ニトロソアミン類を生成する可能性があると考えられる.