2013 年 69 巻 7 号 p. III_151-III_157
本研究では, まず麦焼酎粕乾燥固形物をきのこ培地に用いてヒラタケ栽培試験を試み, 付加価値の高いきのこを生産可能か検討した. その結果, 麦焼酎粕培地でヒラタケを栽培すると, 甘藷焼酎粕培地, 標準培地で栽培したものより高タンパク質で遊離アミノ酸を多く含む高付加価値きのこを栽培できることがわかった. つぎに麦焼酎粕廃培地を培地基材として代替利用し, ヒラタケ栽培試験を再度試みた. 収量, 成分特性は麦焼酎粕廃培地75%置換区において無置換区(廃培地0%区)と同等であり, また, 廃培地中のADF, NDFおよびリグニン量は廃培地を再利用することでそれぞれ23.9%, 17.5%および12.2%少ない値を示した. このことから, 廃培地の再利用は原材料費の軽減に資し, 生産コストの削減に繋がると同時に, 廃培地の家畜飼料への利用を高めることがわかった.