土木学会論文集G(環境)
Online ISSN : 2185-6648
ISSN-L : 2185-6648
環境工学研究論文集 第50巻
夏井川流域における放射性Csの発生源と動態予測に関する研究
佐藤 圭輔菊地 綾華棚橋 弘
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2013 年 69 巻 7 号 p. III_175-III_186

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抄録

 本研究では,原発事故により広範囲に汚染された夏井川流域で土壌,底質,植生,湖沼・河川水などに含まれる放射性Csの調査を実施し,汚染の規模や流出現象,湖沼への蓄積等の動態を分析した.また,137Csと134Csの半減期に着目し,両者の濃度比に基づいて原発事故の起源影響率を定量的に評価した.さらに,Csの流出を再現・予測するモデリングに取組み,河川およびダム湖における水中濃度の長期的変化を予測した.研究の結果,ため池や湖底質には比較的高いCs濃度が検出され,その8割以上は福島原発由来であること,山頂汚染を伴う沢の出口付近でCs汚染が改善していないこと,小玉ダムの湖水では当初に数Bq/L程度と推定されたCs濃度が,20年後には約0.1 Bq/Lまでの減少が見込まれることなどを明らかにした.

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© 2013 公益社団法人 土木学会
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