2013 年 69 巻 7 号 p. III_401-III_410
当研究グループでは以前より, 米国等で排水や環境水の評価・管理に用いられているWET手法の中の短期慢性毒性試験を用いて, 都市河川や全国一級河川水の毒性影響を評価してきたが, 検出された毒性の原因物質が不明確であった. そこで本研究では, 毒性影響が検出された首都圏, 近畿圏, 吉野川水系など計7地点について, WET手法の毒性同定評価(TIE)を参考に固相抽出による前処理等を実施することにより, 毒性原因物質群を特徴化した. その結果, 藻頬の生長阻害は, 金属等の陽イオンの寄与, 甲殻類の繁殖阻害には, 有機物と金属等の陽イオンの両方が寄与しており, 魚類の仔魚致死には, 有機物が寄与している地点が多いことがわかった.