抄録
地方都市の郊外で見られる居住地と農地が混在した地域では,農薬散布による健康影響が懸念される.多くの地方都市では都市のコンパクト化や農産物の地産地消が推進されており,今後,農地分布(農薬の発生源)や人口分布(曝露集団)の変化にともなって,住民の大気経由の農薬への曝露が大きく変わる可能性がある.宇都宮市を対象に,2050年の土地利用や人口の分布の予測から,住民の農薬への曝露を推定した結果,農薬の中でクロロピクリン(CP)による健康リスクが最も高く,都市のコンパクト化に伴い農地が拡大すると,夏季の夜間に0.02%の住民が参考濃度を超えるCPに曝露されることが分かった.居住地と農地がより近い青森市での解析では,高濃度CPに曝露される人口割合が3%にも達することが示された.