土木学会論文集G(環境)
Online ISSN : 2185-6648
ISSN-L : 2185-6648
環境システム研究論文集 第42巻
低炭素エネルギー技術の不確実性を考慮したわが国の長期温室効果ガス削減シナリオ分析
大城 賢増井 利彦
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2014 年 70 巻 6 号 p. II_207-II_215

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抄録
 本研究では,日本を対象とした積上型技術選択モデルを用い,低炭素エネルギー技術(原子力・CCS(炭素隔離固定)・再生可能エネルギー)利用が制約された場合における2050年までの温室効果ガス排出量を定量化した.主な結果として,再生可能エネルギーが低水準に制約され,かつ原子力ゼロの場合,長期目標の80%減を達成するCO2価格は,再生可能エネルギーの普及制約なしの場合と比較して約3倍に増加することが示された.またCCSが利用できない場合削減量が80%に達しない可能性があり,仮に活動量が低水準に留まり80%減に達する場合でも,CO2価格は3~4倍に増加することが示された.長期的な温暖化対策検討の際は,原子力のみならず,CCS・再生可能エネルギー等の普及の不確実性を踏まえることも重要であると考えられる.
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© 2014 公益社団法人 土木学会
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