土木学会論文集G(環境)
Online ISSN : 2185-6648
ISSN-L : 2185-6648
環境工学研究論文集 第51巻
高濃度のアンモニア態窒素を含むメタン発酵消化液を用いた油生産藻類の培養
中井 智司奥田 哲士西嶋 渉大野 正貴松本 光史
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2014 年 70 巻 7 号 p. III_493-III_499

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抄録

 幅広い塩分濃度で増殖でき,かつアンモニア態窒素に対する耐性を有する藻類株を見いだし,藻類培養への消化液の利用性可能性を評価した.藍藻類A,緑藻類B,C,D,珪藻類Eの5株の塩分耐性を試験した結果,0.2‰~30.6‰において藍藻類A株の最大増殖量と脂質生産量は塩分による影響を受けないこと,その比増殖速度は1.4d-1~1.8d-1と高いことがわかった.A株はSynecococcus sp.であり,さらに窒素源をNH4Clとした改変f/2培地を用いてA株のアンモニア耐性を評価した結果,A株はアンモニア態窒素濃度0.9~57.6mMで増殖でき,14.4mMのときに増殖量が最大となった.アンモニア態窒素濃度14.4mMでの最大増殖量はf/2培地使用時よりも高かったが,窒素源としては硝酸態窒素の方が好適であった.下水二次処理水や海水で希釈した消化液において,A株は増殖し,脂質を生産した.しかしながら,消化液にはA株の増殖を低下させる因子が含まれた.下水二次処理水を用いて希釈した消化液での最大増殖量,脂質生産量は海水を用いて希釈した消化液よりも高く,消化液の希釈液としては下水二次処理水の方が好適であった.

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© 2014 公益社団法人 土木学会
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