2014 年 70 巻 7 号 p. III_501-III_508
本研究では,先の東日本大震災などの災害時において安定した給水を保つため,地下水を高速処理する災害時生活用水の製造技術を開発することを目的としている.
用いた学内井戸地下水は鉄やマンガンを多く含有していた.この地下水を用いたカラム通水実験では,弱酸性イオン交換樹脂で長時間に渡り水道水質基準値を満たす鉄・マンガン除去能と処理水pHを維持することができた.この結果を踏まえ,弱酸性樹脂にUF膜を組み合わせた実験装置により中SV(空間速度)条件,高SV条件の2条件で間欠通水実験を行った.その結果,中SV条件では総ろ過水量は目標を17%下回ったが,樹脂のみで許容レベルの水質を満たし,膜透過水では連続的に水道水質基準値を満たす水質が得られた.高SV条件では総ろ過水量は目標を34%下回り,水質は樹脂のみでは許容レベルの水質を超えたが,膜透過水は連続的に水道水質基準値を満たす水質が得られた.