抄録
オマーンでは,水不足の問題と同時に,石油随伴水による環境汚染に対応するための処理コストの低減が課題となっている.石油随伴水を低コストで処理し新たな水資源として利用することで,上記の問題解決への貢献を試みた.本論では,実際に石油随伴水処理水を灌漑利用することを目的とし,ランニングコストを試算した.油処理の観点からは,提案している凝集浮上法で排水利用基準を満足することが可能であり,また石油随伴水の水質によっては処理コストも現状より優位になる可能性が示唆された.灌漑利用するにあたり,塩分とホウ素を除去する工程を考慮し,さらに灌漑利用によって得られるトマトの収入を考慮した結果,現状よりもコストダウンをすることが可能であることが試算された.以上より,石油随伴水の水資源としての利用価値が確認された.