抄録
中緯度地域における大気の振る舞いは,偏西風の蛇行及び高低気圧の移動によって大きく影響を受け,これは傾圧不安定波として解釈される.代表的な傾圧不安定波の室内実験手法としてFultzやHideが提唱した回転水槽実験が挙げられるが,本研究では底面から温度差を与える条件にて実験を行った.この条件では,地球における極域の流れの観察が可能であり,また傾圧不安定波の蛇行の振幅も制限されない.この手法を用いて実験を行ったところ,波数4-6程度の波動が観察され,流れ場は時間とともに動的に変化した.水槽の中心付近の渦度と東西(周方向)流速との間には,時間とともに同期する関係が見られた.