2015 年 71 巻 5 号 p. I_311-I_317
本論文では土地利用種別毎の浸透特性と土壌水分量の違いによる蒸発散量を表現できる蒸発散モデルを,高度に都市化が進展した神田川上流域に適用し,推定された蒸発散量を神田川流域における実測値と比較することによりその妥当性を検証するとともに,対象流域での気温および土地利用の違いが蒸発散量および地物表面温度の空間分布に及ぼす影響について評価した.実流域への適用にあたっては,東京都内で密に観測が行われているMETROSデータから作成した気温分布を土地利用種別地物毎に与え、日単位計算による地物毎の蒸発散量および地表面温度を推定した.その結果,気温により異なる土地利用種別毎の潜熱,顕熱および蒸発散量を推定できることを確認し,空間的な蒸発散量の違いおよび地物表面温度の空間分布について把握することができた.