2015 年 71 巻 5 号 p. I_61-I_66
自然再生事業の第一段階は,各河川の目標と現状の乖離を問題として認識することであり,目標となる姿として外来種数が少なく,在来種数が多い過去の河川の姿があげられる.しかし,地方中小河川においては過去の河川のデータを収集することは難しく,実現可能な目標設定をすることが困難である.そのため,河川本来の姿を形成すると考えられる地形と地質の情報を用いて河川を類型化することにより各河川の特徴を明らかにした.その上で同一類型にも関わらず外来種数が多い河川等の特徴について,水質,河川構造物数を比較し,外来種数が多い河川の特徴を明らかにした.この結果,水質が悪いだけでなく,下流急勾配になる河川の下流域に横断工作物を設置することは外来魚種にとって好適な生息環境を作り上げることに寄与することを示した.