2015 年 71 巻 6 号 p. II_125-II_131
本稿では,選択型コンジョイント分析を用いて,電力供給のビジョンに対する一般市民の選好を評価した.特に,再生可能エネルギーや原子力を含む電源構成に対する選好について分析し,節電行動の必要性や意識が電力供給ビジョンへの選好に与える影響について考察した.分析結果から,原発再稼働に対して否定的な意見を持つ回答者グループは,電源構成などの評価属性への特徴的な選好を持ち,電源構成が提示されると,電力由来のCO2排出量も電力供給ビジョンの判断基準としての優先度が下がることが示された.居住する電力管轄地域によっても,節電行動への意識や原子力発電への選好に関して異なる傾向があり,需給ギャップの可能性があった地域については共通する傾向が見られた.