抄録
2011年3月に発生した東日本大震災は,我が国に甚大な被害をもたらした.発生した震災廃棄物の処理は発災から4年を過ぎた今日まで行われ,重要な課題となっている.近い将来には都市圏でも大震災が発生すると予測されており,膨大な量の震災廃棄物の発生が懸念される.廃棄物の発生地点から仮置場への運搬は,住民の公衆衛生の確保のため迅速かつ効率的な対応が求められるため,震災廃棄物を集積させるスペース(仮置場)を確保できるかどうかを事前に把握する必要がある.そこで本研究では,首都直下型地震が起こった際に発生する東京都23区内の震災廃棄物を対象に,線形計画法に基づいた輸送計画モデルを提案し,仮置場の受入可能量に関する制約条件の有無に着目した多角的な輸送計画を検討した.