抄録
本研究では,水道の送水ネットワークにおけるライフサイクルコスト(LCC)及びCO2(LCCO2)に着目し,管路・ポンプの供用期間の違いによる影響と人口減少社会を考慮に入れて分析した.まず,管路とポンプを20年毎に更新するケースを例にLCC及びLCCO2の基本的傾向を比較した.LCCO2では口径が大きいほど総排出量も低下するといった,単純な傾向が見られた.一方のLCCは,口径縮小(増大)による管路建設費の減少(増加)に反してポンプ運転費が悪化(改善)するという,LCCO2では見られなかったトレードオフ関係が生まれ,合計値を最小にする最適口径の存在が示唆された.そして,各更新年数(管路:20年/40年/80年,ポンプ:20年/40年/80年)を組み合わせた9ケースについて比較分析した.この結果,管路の更新間隔は長く,ポンプの更新間隔は短くすることで,LCC,LCCO2ともに有利になることが明らかになった.