抄録
急流都市河川に自然再生の事例は少なく,環境に配慮した改修技術は確立されていない.本研究では,長崎市大井手川を対象に,①環境に配慮した親水性の高い河道設計,②エネルギー減勢効果及び河床変動の観点から,Step-Pool構造による最適な落差緩和構造を明らかにすることを目的として,縮尺1/33の移動床水理模型実験を行った.その結果,適切に水制工,護床工を設置し,断面の急縮を避け下流部と接続することで,急流河川においても護岸を用いずに河床の静的平衡を保てること,Step-Pool構造は落差緩和,エネルギー減勢に有効であり,本研究対象区間においてはStep高0.55m,Pool深0.55mのStep-Pool構造を4段配置することで河床変動が抑制され,高いエネルギー減勢効果が得られることが確認された.