抄録
埋立廃棄物の廃止にむけた判断を数値的に行うために,本研究では,最終処分場をボックスとして捉え,マクロ的視点での汚濁物質収支モデルを,溶出しうる汚濁物質(COD成分と塩素イオン)の洗い出しと減衰を考慮して構築した.降雨や気温の影響を受けやすいオープン型(OS)処分場では物質収支をとることは困難であったが,覆蓋があるため人工散水により制御されたクローズドシステム(CS)処分場では,溶出しうる汚濁物質の約75%の収支を表現できた.またCS処分場では,液固比で散水量が設計されるが,微生物分解等の減衰も考慮する必要性が示唆された.また,構築したモデルを用いて浸出水濃度の将来予測を行ったところ,CS処分場では塩素イオン濃度の低下に時間がかかるため,散水量を増やすなどの安定化促進策が必要であることを示した.