抄録
本論文では,水道施設の中でも配水管網の主要な構成管路である配水本管の維持管理計画に着目した.管路施設を健全な状態で保持するためには,定期的な維持管理が必要であるが,長大な管路施設の殆どが人目に付かない道路下等に埋設されているため,漏水事故は突発的に発生する.従って,これまでの事後対策では無く,事故を未然に防ぐ予防保全型の維持管理計画が望まれる.
本研究では,東京都23区内で発生した過去の漏水修理データから漏水事故の分析を行った.更に,本管ネットワークモデルを用いて断水による水圧低下の影響を管網解析により定量化した.その結果,漏水事故の発生個所や配水管ネットワークの形状,水需要の分布状況により異なる事故の影響を定量的に評価できる新たな更新優先度評価手法を開発した.