2015 年 71 巻 7 号 p. III_221-III_228
大きな干満を有する有明海に面した六角川水系では,粘着性を有する微細粒子からなるガタ土堆積及びヨシを主体とした植生管理に苦慮している.これらは河道断面の狭小化や流水能の低下を引き起こし,常に河川管理者の課題となっている.また,近年,河川由来の浮遊ゴミとしてのヨシ流出も問題化している.
本研究は,六角川水系牛津川の感潮区間にヨシ植生管理のための貯水トレンチを考案・設置し,長期にわたる調査を通して,その効果を明らかにした.その結果,植生管理としてのトレンチの有効性を示すとともに,貯水トレンチの水位を0.3m以上維持することでヨシ発芽抑制が可能であること,遮蔽板の地上部突起により高濃度の浮泥流入が抑制されること,および貯留水の排出が河川本川に与える影響はほとんどないことなどを示した.