土木学会論文集G(環境)
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環境工学研究論文集 第52巻
パイロットバルーンによる大阪平野東部冷気流の流動構造の観測
玉井 昌宏
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2015 年 71 巻 7 号 p. III_479-III_487

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抄録

 山風の流入が山麓域の夜間気温を低下させることは明白である.しかしながら,夜間ヒートアイランド対策として山風を利用できるかどうか判断するためには,この気流の流動構造や発生メカニズムを明確にする必要がある.大阪平野は周囲を山地に囲まれた小さな平野であり,周辺山地から流入する山風は,夜間ヒートアイランドの有効な対策として期待される.筆者らは平野東部地域に夜間流入している冷たい気流が,この地域の気温を有意に低下させていることを明らかにしている.一方,その冷気流の構造や発生メカニズムについては,全く明らかになっていない.ここでは,パイロットバルーン観測により,この気流の風向風速分布を把握するとともに,各種気象観測データを分析して,この気流の流動構造や発生源について検討した.その結果,この冷気流が生駒山地や和泉山地において発生する山風であると推定された.また,その層厚が100~150m程度であること等を明らかにした.

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