土木学会論文集G(環境)
Online ISSN : 2185-6648
ISSN-L : 2185-6648
地球環境研究論文集 第24巻
気仙沼湾に流入する河川水中の溶存態有機物の規定要因
福島 慶太郎富田 遼平横山 勝英
著者情報
ジャーナル フリー

2016 年 72 巻 5 号 p. I_165-I_172

詳細
抄録

 気仙沼湾に流入する4河川を対象に,溶存態有機物(DOM)の濃度および質と土地利用との関係を調べた.また,2011年3月の震災後に河口域に創出された湿地がDOMに与える影響を検討した.河川上流から下流までと,主な支流から採水し,溶存有機態炭素(DOC)濃度と,腐植物質の指標とされる紫外線吸光度,3次元励起蛍光特性から識別されるフルボ酸様およびタンパク様物質の相対蛍光強度を測定した.その結果,腐植物質由来のDOMは広葉樹林と耕作地が,タンパク様DOMは耕作地が負荷源として重要であり,その負荷は降雨時に増大することが明らかとなった.また,市街地はDOM中のタンパク様物質の割合が上昇する要因であった.震災後に創出した湿地では腐植様・タンパク様DOMの溶出が示唆され,震災によって沿岸域に輸送されるDOC濃度およびDOMの質が変化したと考えられた.

著者関連情報
© 2016 公益社団法人 土木学会
前の記事 次の記事
feedback
Top