2016 年 72 巻 6 号 p. II_127-II_132
わが国における魚道は階段式魚道が多数を占めるが,その多くはコンクリート製である.そのため魚道プールの壁面は灰色であることが多く,表面に塗装が施されることはほとんどない.一方既往の研究で,赤色がアユ(Plecoglossus Altivelis Altivelis)の忌避色であることは明かされたが,選好色については明かされていない.魚の忌避色あるいは選好色を魚道内に塗装することで遡上率が向上するのであれば,安価な既設魚道の改良が可能である.本研究では忌避色である赤色とその他三色を魚道プール内に塗装し,遡上率の変化を見た.その結果,上流側切欠き付近を黄色で塗装すると,黄色を選好して遊泳位置が上流側切欠きに移動し,結果的に遡上率の向上が見られた.