抄録
本研究では,兵庫県臨海地域をケーススタディの対象として,社会変化の影響を考慮し,セメント生産インフラを活用した下水汚泥固形燃料化の供給と受け入れポテンシャルを中長期で推計した.その上で,この連携システムにおける技術導入に伴う温室効果ガスの排出量も推計した.その結果,1) セメント産業の動向の範囲内であれば,技術展望オプションでは5箇所の下水汚泥処理施設分の汚泥を受け入れ可能ということ,2) セメント産業の成長を見込み,技術展望オプションが想定できるとき,6箇所分の汚泥を受け入れ可能となること,3) セメント生産インフラと連携して下水汚泥由来の固形燃料を有効活用するシステムはGHG削減ポテンシャルが高く,従来の汚泥処理が継続されていた場合と比べた2015~2040年におけるシステム全体のGHG総削減量は最大で4, 336[千t-CO2/年](GHG排出量125.4[%]削減)となることが明らかになった.