土木学会論文集G(環境)
Online ISSN : 2185-6648
ISSN-L : 2185-6648
環境工学研究論文集 第53巻
下水管内堆積物の動態モデル解析を用いた清掃水投入による雨天時越流負荷削減量の評価
賀須井 直規春日 郁朗栗栖 太片山 浩之古米 弘明
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2016 年 72 巻 7 号 p. III_153-III_160

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抄録

 雨天時越流水による汚濁負荷の起源として管内堆積物の重要性が指摘されているが,その排水区レベルでの動態に関する知見は不十分である.本研究では,Ackers & Whiteによる懸濁物質輸送堆積理論を採用した分布型モデルによって排水区単位(面積42.2 km2)で堆積物の蓄積・掃流・輸送について解析し,その結果をもとに貯留雨水投入による堆積物除去による越流負荷削減効果について評価した.管内堆積物は,晴天時の蓄積,雨天時の掃流ともに空間的差異が大きく,越流負荷の起源の特定には空間的な蓄積・掃流特性の両面を考慮する必要があることが推察された.選定した上流部3地点からの清掃水投入時の流出解析により,32400 m3の清掃水投入によって18.3 %の年間越流負荷削減効果が推定された.越流負荷削減手法としての管渠清掃の効果をモデル解析で検討することは有意義である.

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© 2016 公益社団法人 土木学会
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