2017 年 73 巻 3 号 p. 101-111
本研究は,下水再生水の衛生学的安全性を確保するために,凝集とUF膜を用いた水処理プロセスにおけるウイルスの挙動を明らかにするとともに,大腸菌ファージMS2とQßにおける除去率の相違について検討を行った.その結果,凝集処理におけるMS2の除去率は,凝集剤の注入濃度が高くなるほど大きくなり,また,MS2と比較してQßのほうが高い除去率が得られた.パイロットプラントを用いた凝集およびUFによるウイルス除去実験から,凝集剤の注入によってUFでのウイルス除去率が上昇が見られた.また,パイロットプラント実験から,凝集による除去率については,MS2と比較してQßの方が高い除去率となったが,凝集での除去の傾向に反して,UFでの除去率はMS2の方が高い除去率となった.