土木学会論文集G(環境)
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和文論文
水俣条約後の水銀需給に基づく世界と日本の余剰水銀の将来予測
袖野 玲子高岡 昌輝
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2017 年 73 巻 3 号 p. 112-120

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抄録

 水銀に関する水俣条約の採択を受け,今後,世界的な水銀需要の低下が見込まれる.日本では廃棄物や副産物から回収された水銀の多くが輸出されているが,需要の低下により回収水銀を廃棄物として国内処分しなければならない事態が将来想定され,今後の処分体制の整備に当たり,余剰水銀の発生量の見通しを把握することは喫緊の課題である.このため,本研究では条約の影響を踏まえた国際的な水銀需給を予測し,世界及び日本の将来の余剰水銀の発生量を推計した.この結果,中国における水銀需給の不確実性が大きいものの,我が国においては,主な製品用途の水銀需要がなくなる2020年より余剰水銀が発生し,2025年以降増大すると予測された.また,2050年の余剰水銀のストック量は世界で約24~25千トン,日本国内で約600~1,400トンと試算された.

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