抄録
高齢化社会の到来に際し健康寿命の延伸に関心が高まっている.健康寿命の延伸には主観的健康状態を高めることも不可欠であることが指摘されている.本研究では個人の「食環境」と「食行動に関する意図」を統計的に解析することを通じ,主観的健康状態(本研究では全体的健康感,心の健康,活力,食欲の四指標と定義)を高めるための影響要因を構造的に明らかにした.分析の結果,1)中高齢者,及び夫婦世帯の方が相対的に主観的健康状態に対する評価が高いこと,2)壮年女性が「食べる時間がない」「朝食を食べる習慣がない」「ダイエットしている」という傾向が強く,三食の規則性を確保できず,主観的に不健康であると認識する傾向にあること,3)食材購入施設がよく整備されている地域における居住者は主観的健康状態が良いと判断しやすいこと,などが明らかとなった.