抄録
炭素税や立地適正化計画制度の導入等,環境関連政策を巡る重要な局面で都市構造と自動車CO2排出量の関係が注目されてきた.特にNewman-Kenworthyタイプの散布図はその最も基礎をなす情報である.わが国では同図を作成する上で,全国都市交通特性調査(旧名称は全国パーソントリップ調査)が活用されてきた.しかし算定過程での年次別の燃費の扱いや調査項目の違いは,検討期間が長期に及ぶと結果に少なからぬ影響を及ぼす.本研究では2015年に6回目の調査がなされ,関連する指標値も過去に遡って改められていることも踏まえ,都市別自動車CO2排出量を28年に渡って精査する.その結果,28年前の都市別一人当たり自動車CO2排出量は先行研究よりも実際は低い数値であった.また近年になるに従って一人当たり自動車CO2排出量の都市間格差が拡大していることが改めて確認された.