抄録
東京都には高度経済成長期に整備された建築物や社会資本が,膨大なストックとして蓄積されている.今後,これらが,一斉に耐用年数を迎えることから,老朽化ストックとして急増することが危惧されている.本研究では,東京都の木造建築物を事例として,人口減に伴う建築物の需要減少と長期使用進展による影響を考慮したシナリオを設定し,ストック推計を行った.そこから,管理されない空き家化に伴う老朽化ストック量予測を行い,その放置問題の防止に向けた管理方策として,建築物版リサイクル券の導入,建材や工法選定の義務化,建築物カルテの導入,既存ストック活用による新築選好抑制,災害など有事に備えた基金の設立を提案した.