抄録
本研究では,福岡県北九州市をケーススタディの対象として,下水汚泥の燃料利用とそれに伴う乾燥熱源の違いを考慮し,静脈系インフラが連携したエネルギー回収システムのGHG削減効果を評価した.脱水汚泥を高温焼却・ごみと混焼・造粒乾燥,消化ガスをガス発電・造粒乾燥の乾燥熱源・都市ガス代替,ごみ焼却排熱を蒸気タービン発電・汚泥の乾燥熱源に分けた比較ケースを5つ設定した.分析の結果case2(脱水汚泥:造粒乾燥,消化ガス:造粒乾燥の乾燥熱源,ごみ焼却排熱:蒸気タービン発電)が最もGHG削減効果が高く,基準のcase0(脱水汚泥:高温焼却,消化ガス:ガス発電,ごみ焼却排熱:蒸気タービン発電)と比較してGHG排出量の38%が削減可能であり,近接する静脈系インフラや産業工場の連携を活かしたエネルギー回収の有効性が明らかとなった.